２００２年に制作した職人たち
■ＲＯＢＥＲＴＯ ＢＩＮＩ
帽子木型職人 ロベルト・ビーニ
お兄さんのルチアーノさんと３人の職人さんと工房を開いています。
帽子職人が使うための木型を中心に制作していますが、その他にも様々な木の彫刻を手がけています。
折りたたんだ傘やシャツ、ズボンの彫刻など、見ていて楽しくなるような作品を作っています。
後に制作することになるシャツ職人レオナルド・ブジェッリさんの工房には彼の手によるシャツの彫刻や襟元や袖口のパーツをディスプレイするためのトルソーや手の彫刻、ボタン入れとして使われている両手を合わせた形の彫刻などが店のショーウインドウにディスプレイされています。
ビーニさんの工房があるのはサント・スピリト広場。
この界隈は職人の工房が軒を連ねていますが、中でも最近距離にあるのが後述する靴職人ロベルト・ウゴリーニさんの工房で、ここで私はビーニさんと知り合いました。
それまでは時々見かける程度だったのですが、私がウゴリーニの工房でスケッチしていた時におめかししたビーニさんが顔を出したのですが、いつもチェックのシャツにオールオーバーといういでたちでなので最初誰だかわかりませんでした。
後でわかったのですが、仕事が終わって家に帰る時は着替えてきちんとした服装なんだそうです。
工房所在地 Piazza S.Spilito,5r-50125 Firenze
■ＲＯＢＥＲＴＯ ＵＧＯＲＩＮＩ
靴職人 ロベルト・ウゴリーニ
サントスピリト広場の一角にある工房は、入り口に壁一面に木型を並べた、とても絵になる雰囲気をもっています。
ウゴリーニさんは祖祖父が靴職人、祖父と父親が靴の修理職人で母親が靴屋さんという靴一家で育ち、彼も靴の修理屋を始めたのですが、毎晩仕事の後で靴職人のもとを訪れ少しずつ靴の作り方を覚えて行きました。
１９９６年に工房を開いて以来、「無骨ながらも官能的な靴」と業界の評価を受けています。
工房では常に日本人のお弟子さんが入れ代わり立ち代わり修行されています。
ウゴリーニさん自身もまだ職人としては若手なので、若さから来るエネルギーが靴造りを目指す若者を引きつけるという事でしょうか。
私も工房の雰囲気に引かれて、下宿から近いのをいい事にほぼ毎日顔を出してましたね。
ウゴリーニさんの工房からは、現在日本でも活躍中の靴職人を数多く輩出しています。
作品集のロベルト・ウゴリーニさんの切り絵もご覧ください。
工房所在地 via Michelozzi,17r-50125 Firenze
作品集の「Ｒ・Ｕの世界」へ
■ＣＡＲＬＯ VＥＴＴＯＲＩ
バイオリン職人 カルロ・ベットーリ
ベットーリさんは１２歳の時からお父さんのダリオ・ベットーリさんの下でバイオリン職人としての修行を始め、１４歳の時にはじめてのバイオリンを完成させました。
現在、フィレンツェではもっとも重要なバイオリン職人で、職人として工房を構える他、コンテストの審査員を務めたりバイオリンについての著作をしたりと忙しい日々を送っています。
またベットーリ家では彼の他にも彼の弟さんと甥子さんが近所でバイオリンの工房を開いています。
工房に訪れると、たまにベットーリさんがバイオリンを弾いていたりします。
なかなか優雅な雰囲気でしたね。
作品集のカルロ・ベットーリさんの切り絵もご覧ください。
工房所在地 via Guelfa,3 Firenze
作品集の「最後の儀式」へ
■ＰＡＯＬＯ ＰＥＮＣＯ
彫金家 パオロ・ペンコ
フィレンツェで毎年５月にコルシーニ大公の庭園で１００人ほど職人が集まって展示会が開かれるのですが、ある時この展示会に見に行きまして、その時に特に印象的だったのがこのパオロ・ペンコさんとステンドグラス職人のマリオ・スパタリさんでした。
展示会中は何となく声がかけづらかったので、店のパンフレットだけもらって後日訪ねてみようかと思っていました。
しかし展示会後たまたま他の職人さんの工房にいく途中で、彼の店の前を通りがかりまして「ああ、ここだったのか・・・。」と店の中を眺めていたら、正面のカウンターで仕事をしていたペンコさんと目が合って「やあ。」といった感じで、ドアのロックを開けて中へ入れてくれました。
この方の切り絵を制作している期間、ちょくちょく工房にお邪魔しましたが何を話すわけでもないのに、なんとなくエネルギーをもらって帰るような気がしていました。
やはりこれはペンコさんの覇気に溢れた人柄によるのかなと思います。
ペンコさんと知り合った年の末に私は７年間住んでいたフィレンツェから引き上げたのですが、ペンコさんの推薦もあって翌年よりコルシーニの職人展に参加することになりました。
ペンコさんと知り合った時は想像もしなかった展開ですね。
ペンコさんの作品の中でも特徴的なのは、ルネッサンスの時代に描かれたボッティチェッリやギルランダイオ、ドナテッロの名画や彫刻の人物が身につけているアクセサリーを立体化した物があります。
２００４年に発表されたボッティチェッリの名画「パラスとケンタウロス」をモチーフにしたシリーズは印象的でした。
作品集のパオロ・ペンコさんの切り絵もご覧ください。
工房所在地 via Zannetti,14-16r-50123 Firenze
作品集の「ルネッサンスへのオマージュ」へ
■ＭＡＲＩＯ ＳＰＡＴＡＲＩ
ステンドグラス職人 マリオ･スパタリ
工房の名前を「ヴェトロジア」といいます。
「ヴェトロ」 はイタリア語でガラスの意味で、これに「ファンタジア」をくっつけたのが工房の名前になっています。
この方もコルシーニ庭園の職人展に観客として見に行った時に知り合いました。
ガラス用のカッターで切断したガラスを鉛で切断面を囲んで接着して仕上げます。（ちなみにガラス切りは日本製の物を使っています。）
この方法だと一枚のガラスより格段に強度が増します。
ドアの装飾から窓、家の間仕切りに鏡などの室内装飾やランプ等を制作しています。
作品集のマリオ・スパタリさんの切り絵もご覧ください。
工房所在地 via Corridoni,17-Firenze
作品集の「カレイドスコープ」へ
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