45×75cm
2005年制作
愛知県個人蔵

汐汲


汐汲汐汲(部分)






普段イタリア関係の物をモチーフとしている私としては、珍しい和物の切り絵です。
この作品を制作する5年ほど前に地元の祭りの風景を切り絵にしたのが最後でした。
たまには和風の作品も良いものです。着物の模様なんかも切り絵で表現するのには
向いているようですね。


汐汲みは日本舞踊の演目の一つです。
平安時代に中央の政争に敗れた貴族、在原行平が須磨の浦へ流罪となり、そこで
汐汲みを生業とする松風、村雨という姉妹と恋に落ちる。しかし3年後、行平は許されて
都へ帰ることになり、形見に鳥帽子・狩衣を松の枝に残して行く。
姉妹は行平がいつか帰ってくると信じて待ち続けるのですが、やがて風の便りに行平
が都で病で亡くなった話を聞く。妹の村雨も後を追うように病死し、独り残った松風は
行平の遺品となった烏帽子と狩衣を身につけ、幸せだった頃をしのんで舞うというもの
です。

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